のんびりしっかりキャリアとライフ

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イエスマン戦術

会社の偉い人で、部下達にものすごく嫌われている人がいます。

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出典:unsplush

スタイルの違い?

偉い人は私より年下かつトップに気に入られてスムーズに会社を運営していけることが自分の一番の役割と思っているタイプ(簡単に言うとイエスマン)で非常に分かりやすい。自分が承認したプランを部下が社長にプレゼンする際、社長が少しでも否定的なコメントをすると「ですよねー私もそう思ってました。出直します」とすぐ引っ込めます。

この行為について、部下達は「プラン作成の時間を返して欲しい」「直接社長にプレゼンした方が早い」「手のひら返しなんて最低」と常に怒っています。

本当にその通りです。でも、なぜか私はその人のことをそれほど嫌いではないのです。

 

突然ですが、犬がお腹を見せるのは服従の印。お腹を見せられると相手の犬はそれ以上攻撃してきません。自分より強い相手に歯向かっても自分へのダメージが大きいことが明らかなので、合理的な選択としてそうしているというのはよく知られた話ですよね。それと同じことが組織やそれを運営している人にも言えるのではないかと思うのです。

 

私は自分が正しいと思ったものは正攻法で通したくなるタイプ。プレゼンする時も反論の余地がないように武装していきます。それでも「頭では理解するけど言いくるめられるのは何となく嫌だ」のようなふんわりとした感覚で却下されることがあります。というかその方が多いかもしれません。

私が玉砕するのを同じ場所にいる部下達は見ているので、彼ら彼女らは自分の意見を一貫して曲げない私に対して好印象を抱いてくれます。なので、私は今まであまり自分のチームメンバーとの関係で困ったことはありません。

しかし。却下されたからには再提案をする必要があり、また時間をかけて練り直さないといけません。しかも一度却下された以上、再提案のハードルはかなり高くなり、その分自分にもチームにも負担がかかります。それが本当にチームや組織のためになるのか。自分の信念を貫くという人として正しい姿を学ぶためには正しい行為であることは間違いないと思います。だけど、イエスマンのその人は、提案内容をしっかり記憶される前にすぐ引っ込めるだけに、再提案のハードルはかなり低いように見えるのです。どこで引っかかったかは分かっているのでそこだけ言い方を変えて、内容自体は前とほぼ同じだったりするのに何となく「やりたいならやってもいい」みたいな評価をもらえてしまう。それはお腹を見せる犬とかなり似た、組織としての合理的な行動なのではないかと思うのです。

やり方としては格好よくないし、上ばかり気にする人間を創り出してしまうので社員のモチベーションややりがいは薄くなってしまうため、100%賛成はしませんが、組織運営の戦術の一つなんだなと思うことはできます。だから彼のことは嫌いではない。

 

ただ、彼は部下達の気持ちを理解していません。プランを作った人がどんな思いを込めているか、どれだけ社長にこのプランを認めて欲しいか、という視点が足りないからこそできる行為かもしれません。だから彼は部下達にも信用されず、嫌われてしまうことになる。組織運営のためにはそれでいいんだと言うのかもしれませんが、上の人を冷めた目で見る部下達だらけの組織が正しい方向に運営されていくようには思えません。

 

組織の中でのふるまいは人それぞれ。自分と全く違うスタイルの上司にあたってしまうと辛いとは思いますが、「この人は何でこんなやり方をするのか?」と憤ることがあったら、「この人の戦術は自分とは全然違うんだな」とちょっと距離を置いた目で見るのが、いいのかもしれません。

 

猫の視点

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